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二尊院

提供: 新纂浄土宗大辞典

にそんいん/二尊院

京都市右京区嵯峨二尊院門前長神町。正式には小倉山二尊教院華台寺という。天台宗に属す。法然上人二十五霊場第一七番。本尊として釈迦如来阿弥陀如来(共に鎌倉時代の作・国重要文化財)の二尊を安置し、各々が娑婆における発遣極楽からの来迎の相をとる。寺伝(『二尊院縁起』)によれば、平安初期(承和年間〔八三四—八四八〕)に創建されたというが、その後は審らかでなく衰退の一途を辿ったようである。しかし、鎌倉初期になると法然門流の湛空によって再興され、専修念仏の京洛における一拠点となる(嵯峨門徒)。現在の寺基は応仁の乱以後、荒廃した伽藍を整備した三条西実隆さんじょうにしさねたか(一四五五—一五三七)による。なお、『漢語灯録』の善本として著名な恵空本にはその書写の際、対校本として二尊院所蔵の伝本(散逸か)が用いられたと記されている。寺宝に本尊釈迦弥陀如来像、浄土五祖像法然上人絵像(足曳あしびき御影)、原本『七箇条制誡』(以上、国重要文化財)など枚挙にいとまがない。【図版】巻末付録


【執筆者:能島覚】