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三部経釈

提供: 新纂浄土宗大辞典

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さんぶきょうしゃく/三部経釈

一巻。法然撰。「浄土三部経釈」「三部経私記」「三部経講釈」「三経釈」ともいう。一般的には、「浄土三部経」を注釈した東大寺講説の内容を記した『無量寿経釈』『観無量寿経釈』『阿弥陀経釈』各本を指すが、ここで取り上げるものは『古徳伝』巻四所収本。文治六年(一一九〇)法然重源の要請に応じ東大寺において三部経を講説した際の講録。ただし、この『古徳伝』所収本は、諸本のほとんどが五科段構成になっているにもかかわらず三科段構成になっているなど、他と比べて内容の異同が非常に多い。それ故、『昭法全』でも別して取り上げられている。『三部経釈』の内容は、東大寺講説当時のもの(古層)と『選択集』成立以降に加筆されたと考えられるところ(新層)があり、成立年時などを考える上で注意が必要である。とはいえ法然浄土教思想を知る上で重要な文献であることにかわりはない。


【所収】昭法全


【参考】大橋俊雄「法然上人撰述浄土三部経末疏の成立前後に就て—選択集を定点として見たる思想史的考察—」(『仏教史学』八—一、一九五九)


【参照項目】➡無量寿経釈観無量寿経釈阿弥陀経釈


【執筆者:髙橋寿光】