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三学非器

提供: 新纂浄土宗大辞典

さんがくひき/三学非器

戒を保つこと(戒)・禅定を修めること(定)・智慧を極めること(慧)が成就できる器ではないとの自覚。聖光の『徹選択集』(聖典三・二二〇~二二/昭法全五九~六一)および「諸人伝説の詞」(『和語灯録』聖典四・四八四/昭法全四六〇)に法然の述懐として説かれる。この回顧録には、小乗、大乗(顕教密教)のそれぞれに三学(戒、定、慧)があると、わざわざ記すところをみると、「三学非器」を、さしおくべき聖道門(四乗)を自身の器でないと断定し浄土門称名念仏に選入する身となった法然教判を表現するための修辞と考えるか、それとも、法然自らが厳密に自己能力評価(機の自覚)を下した記録と考えるかにより、法然像が大きく変わることになる。


【参考】藤堂恭俊「浄土宗開創期前後における法然の課題」(『法然上人研究』一、山喜房仏書林、一九八三)


【参照項目】➡三学


【執筆者:眞柄和人】