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絵伝

提供: 新纂浄土宗大辞典

えでん/絵伝

高僧の伝記や社寺の縁起を連続する絵で表現したもの。掛け物仕立てと巻物形式とがあり、伝絵でんねともいう。奈良時代に制作された『絵因果経』は、釈尊本生譚ほんじょうたん(前世の物語)を述べた経文に絵を加えたもので絵伝の先駆となるものである。院政期に法隆寺上宮王院(東院)に絵殿(国重要文化財)が創建されると、「聖徳太子伝障子絵」(国宝)が描かれ、貴族の要望により寺僧が解説していた。鎌倉時代になると法然親鸞一遍などの祖師絵伝、北野天神縁起・八幡縁起・春日権現縁起などの社寺縁起絵が制作された。それぞれ数種類が作られ、転写されて布教伝道に使用された。南北朝期にはその内容を話芸を交えて説明することを職業とする芸能僧が現れ、「絵解法師えときほうし」とよばれた。室町時代に霊場参詣が盛んになると、各地の社寺において参詣曼荼(陀)羅が制作され、熊野比丘尼が熊野曼荼(陀)羅や地獄絵を携行して熊野信仰勧進するようになった。【図版】巻末付録


【執筆者:今堀太逸】