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結縁

提供: 新纂浄土宗大辞典

けちえん/結縁

広義には仏・菩薩または仏道に縁を結ぶこと。狭義には、それぞれの信仰する祖師僧侶宗教的な関係をもつことを指す。「結縁機」の略。「結縁」という考え方は古くは奈良時代の東大寺創建期における「知識結ちしきゆい」同様、ひろく衆生が仏縁を得ることを指すものと考えられる。真言宗では在俗の信者に行う「結縁灌頂」(投華三昧耶)、複数の道族が集い『法華経』を供養する「結縁八講」、また浄土宗では在俗信者宗義を伝える「結縁五重」、円頓戒授戒する「結縁授戒」といった結縁儀礼が行われている。浄土宗における僧俗の結びつきは、この結縁によるところが大きく、大阪・一心寺に伝来する通称「一行一筆阿弥陀経・般若心経」は、法然所縁の人々が関係して執筆された結縁経として知られ、また法然入滅後、一周忌にあたり造立された滋賀・玉桂寺阿弥陀如来像の胎内からは四万六千名にのぼる結縁交名きょうみょうが確認されている。初期浄土宗においては伝道布教の手段として、造寺造仏の折にしばしば結縁勧進が行われた。


【資料】『法華経文句』、『法華経玄義』、『真言内証』


【参考】青木淳「結縁資料の研究」(『無遮』和光大学人文学部芸術学科、一九八七)


【参照項目】➡結縁五重結縁授戒一行一筆阿弥陀経・般若心経源智上人造立阿弥陀如来立像像内納入品


【執筆者:青木淳】