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道基

提供: 新纂浄土宗大辞典

どうき/道基

北周・建徳二年(五七三)—唐・貞観一一年(六三七)。河南東平の人。一四歳のとき、彭城(江蘇省徐州)に遊学して諸師の講説を聞き、学識を深めた。洛陽に召されて行き、『雑阿毘曇心論(雑心論)』を講説した。慧日道場での講義は煬帝ようだいが列席するほど盛況であり、若かりし玄奘三蔵道基に『雑心論』を学んだ。後に益州(四川省)の福成寺に入り、『摂大乗論』の弘法につとめた。著作には『摂大乗論章』一四巻(あるいは八巻)や『雑心論章』八巻(敦煌文献に巻三が残存している)および『抄』があったとされる。敦煌本『摂大乗論章』四(正蔵八五)は道基の著作の断簡にあたると推定され、凝然『維摩経菴羅記』(仏全五・一九四上)にも道基の教説が伝えられている。


【参考】勝又俊教『仏教における心識説の研究』(山喜房仏書林、一九六一)、望月信亨『中国浄土教理史』(法蔵館、一九四二)


【執筆者:工藤量導】