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行誡上人遺訓

提供: 新纂浄土宗大辞典

ぎょうかいしょうにんゆいくん/行誡上人遺訓

福田行誡述、福田循誘編。明治二二年(一八八九)刊。行誡が死の一〇日前に浄土宗侶に示した教誨で、戒律をもって仏教を復興しようとした行誡の思想がみられる。本書は知恩院日野霊瑞の揮毫、菊池容斎の行誡肖像画と行誡自筆の和歌一首、本文からなる。行誡は江戸時代に俗化した仏教界が、明治五年(一八七二)の僧侶肉食妻帯蓄髪勝手次第の布告によりさらに俗化した現状を嘆き、「肉食は大悲を賊するの毒なり、妻子は三界繫縛けばくの毒なり」と慚愧し、浄土宗で伝えるところの円頓戒を護り、人々の帰信を生ぜしめよと説いている。


【所収】『平成新修福田行誡上人全集』三(USS出版、二〇〇九)


【執筆者:石川達也】