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華厳の念仏

提供: 新纂浄土宗大辞典

けごんのねんぶつ/華厳の念仏

華厳経法界にゅうほっかいぼんを中心に説かれる念仏。また華厳教学において説かれる念仏のこと。経典では蓮華蔵世界浄土であり、それを形成した毘盧遮那仏びるしゃなぶつを想うことを念仏といい、その用例は多い。入法界品では、善財童子が最初の善知識である功徳比丘と最後の善知識普賢菩薩により阿弥陀仏を賞賛され、西方極楽浄土への往生を勧められる。また華厳教学においては、明代になり禅や浄土と兼修されるなかで、「己心こしん弥陀唯心の浄土」として仏土を念じることをいう。これは浄土教の主張する指方立相念仏とは異なる。


【資料】『諸家念仏集』五「華厳念仏」(浄全一五)


【参考】中村薫『中国華厳浄土思想の研究』(法蔵館、二〇〇一)、香月乗光「華厳経寿命品の弥陀浄土説とその展開」(『法然浄土教の思想と歴史』山喜房仏書林、一九七四)


【参照項目】➡己心の弥陀・唯心の浄土


【執筆者:吉津宜英】