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自力他力事

提供: 新纂浄土宗大辞典

じりきたりきのこと/自力他力事

一巻。隆寛著。一三世紀前半頃、成立年次不詳。念仏について、自力他力分別し、自力を捨てて他力につくことを示した仮名書きの書。『唯信鈔』『後世物語聞書』とともに親鸞が愛読し、東国の門弟に書写して送ったことで知られる。阿弥陀仏他力を強調しており「まさしき本願極楽にはまいらずして、わずかにそのほとりへまいりて」(続浄九・三一下)とした隆寛教学の特徴である辺地往生が説かれている。現在伝わるのは寛元四年(一二四六)の親鸞書写本で真宗系列の寺院に伝承されている。


【所収】続浄九、真宗聖典二、『定本親鸞聖人全集』六、正蔵八三


【参考】平井正戒『隆寛律師の浄土教附遺文集』(国書刊行会、一九四一)


【参照項目】➡辺地往生


【執筆者:伊藤茂樹】