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提供: 新纂浄土宗大辞典

ばち/罰

倫理的・宗教規範を犯した者への超越的な制裁(仏罰・神罰・天罰)。古代インドでは、業の理論と因果応報観念によって、現世における悪しき行為はそれに応じた報い(罰)を受けるという考えが発達し、仏教の律に影響を与えた。律蔵では、殺生・盗み・姦淫などの罪に応じて、教団からの追放や謹慎、公の場での懺悔告白が定められているが、基本的には罪を告白して許しを請う慚愧懺悔によって許される。古代日本では、罪を犯した者はみそぎやはらいによって、ケガレを浄めなくてはならないと考えられた。仏教が伝来して、因果応報輪廻転生の観念が広まるにつれ、現実の不幸や災害は人々の悪しき行為に対して神仏が下す冥罰であると考えられて、仏罰や神罰という観念が成立した。現代の新宗教の多くが、病気や不幸を神仏や先祖霊による罰と考えて、その解除のために神仏への祭祀と先祖供養を重視するのも、こうした歴史にもとづいていよう。


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【執筆者:西村玲】