操作

笏念仏

提供: 新纂浄土宗大辞典

しゃくねんぶつ/笏念仏

知恩院に伝承する念仏の曲。御忌会逮夜法要で唱えられる。念仏五句からなり、句頭師が一唱し、大衆が一唱する形で行われ、笏板しゃくいたを打って念仏するところから笏念仏の名がある。ゆったりとした塩梅、律ユリ、垂レごえの旋律から、次第に拍子の間合いを詰めながら徐々に速くなり、最後は念仏一会に納めていく序破急の思いに富む曲といえる。この笏念仏行道三匝さんぞうする中で行われ、その形が常香盤に似ているところから香盤行道といわれる。この曲は『法要集』(昭和一四年版)に初めて記載されたもので、それ以前には知恩院の秘曲となっていた。


【資料】義山『翼賛』五二(浄全一六・七八九下)、関通『一枚起請文梗概聞書』(浄全九・一四五下


【執筆者:大澤亮我】


御忌会声明法要などで唱える声明。献華行道をともなうことがある。句頭は笏を二つに割るような作法をしてから、句頭一唱同音一唱で笏を打ち合わせて唱える。祖山流では各音の出音に付随した塩梅および句末の垂れ声が特長であるが、縁山流では三句目のみに塩梅、垂れ声を用い、他の句には出(塩梅)を付けずに唱えるのが特長である。また、祖山流のように徐々に速く唱えることはなく、等間隔で唱えている。縁山流の特色である「あたり」があり、二句目の「弥」はミイエと「エ」が加唱されている。三句目はヨ当よあたり半下はんさげ)と垂れ声が独特の節である。


【執筆者:廣本榮康】