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秋葉信仰

提供: 新纂浄土宗大辞典

あきばしんこう/秋葉信仰

静岡県浜松市にある秋葉山あきはさん(標高八六六メートル)に対する信仰。火防鎮護の信仰で知られる。伝承によれば信州出身の修験者である三尺坊が来山して、死後に神格化され秋葉山三尺坊大権現として祀られたとされる。中世には修験者によって東海・信越地方を中心に、秋葉信仰が流布した。近世には秋葉寺が別当として管理していたが、明治の神仏分離で大打撃を受け、権現は山麓の曹洞宗寺院可睡斎かすいさいで祀られることになった。明治六年(一八七三)には山頂に秋葉山本宮秋葉神社(祭神は火之迦具土神ひのかぐつちのかみ)、同一三年には山上に曹洞宗秋葉寺しゅうようじが再興された。現在でも秋葉講が組織され信仰を集めている。曹洞宗寺院内で祀られることが多いが、浄土宗寺院でも鎌倉光明寺にある秋葉社などが見られる。


【参考】田村貞雄監修/中野東禅・吉田俊英編『秋葉信仰』(『民衆宗教史叢書』三一、雄山閣出版、一九九八)


【執筆者:大澤広嗣】