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祐天大僧正伝

提供: 新纂浄土宗大辞典

ゆうてんだいそうじょうでん/祐天大僧正伝

泉谷瓦礫集せんこくがれきしゅう』(恵頓えとん撰、天明四年〔一七八四〕刊)に収載。別に『開山大僧正祐天尊者行状完 中興開創祐海和尚略伝』として享和二年(一八〇二)に祐天寺六世祐全が跋文を記し、芝西応寺玄雅の校刊、三縁山中瑞善の書により刊行。祐天寺に蔵されていた祐天の徳行の記録等を、祐全が小机泉谷寺恵頓に提供し伝記の体裁に整えたもの。祐天の出自、出家のいきさつを述べ、主として徳川綱吉の命で大巌寺住職を命じられて以後の事績を載せる。特に綱吉との問答を取り上げ、書写名号功徳の真意、浄土宗鎮護国家の法のない理由、家康の浄土宗信仰について詳述する。享和二年刊の本には拾遺としていわゆる累得脱かさねとくだつの事績等二事を載せる。すでに『祐天大僧正御伝記』等の祐天伝が世俗に流布し、成田不動で智慧を授かったとされる祐天像が作られる中、祐天の伝記を浄土宗の立場からまとめた伝記として注目される。その内容は『三縁山志』『略伝集』『続日本高僧伝』一〇(吉川弘文館、一九〇六)に引き継がれた。


【所収】『祐天寺史資料集』二(祐天寺、二〇〇四)


【参照項目】➡泉谷瓦礫集


【執筆者:巖谷勝正】