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盥漱偈

提供: 新纂浄土宗大辞典

かんそうげ/盥漱偈

手を洗い、口をすすぐときに唱える偈文。「以水漱口いすいそうく 当願衆生とうがんしゅじょう 清浄とくしょうじょうしゅ 受持仏法じゅじぶっぽう」(出典不明)。口などをきれいにすることによって、仏法を正しくたもつことができるように願う意。起床して洗顔するとき、また法要前などに手を洗い清めるときにも用いる。洗手偈ともいう。『諸回向宝鑑』二では「手水ちょうずつかう時の文」とし、「以水洗水いすいせんしゅ 当願衆生 得清浄手 受持仏法」(二一ウ)とある。特に手の浄触(浄と汚)が厳しく問われる律院などで重要視され、起居・威儀すべてに作法があって、日々の生活の中に、極浄手、浄手、触手などがあり、手を洗い清めることなどの必要性が意識される中、手を洗うときなどに必ず唱えるべき偈とされる。さらにこの偈に続いて呪の「唵主迦囉耶莎訶おんしゅぎゃらやそこ」を唱えることも指示されている(『浄土苾蒭びっしゅ宝庫』下四七ウ)。この偈文の典拠は『八十華厳』一四「以水盥掌 当願衆生 得清浄手 受持仏法」(正蔵一〇・七〇下)であり、黄檗おうばく宗などでこの偈が用いられている。一方、曹洞宗などでは『六十華厳』六「以水盥掌 当願衆生 得上妙手 受持仏法」(正蔵九・四三一中)の偈を用いる。


【資料】『黄檗清規』(正蔵八二・七七一中


【執筆者:大澤亮我】