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盆踊り

提供: 新纂浄土宗大辞典

ぼんおどり/盆踊り

盆の時期に踊る踊り。本来、先祖霊をはじめとする死者の霊を歓待し送るという目的で踊られるものであるが、風流化しその意を失ったものも多い。盆踊りには、を中心に円になって踊りながら進むもの、行列になり踊りながら直進するもの、また囃子はやし太鼓などにあわせ華やかに踊るもの、唄だけにあわせ静かに踊るものなど、その様式は様々である。先祖霊の歓待と送りというモチーフが見られるものに、長野県下伊那郡阿南町の新野の盆踊り(国重要無形民俗文化財)がある。八月一四日から一六日まで踊られるが、最終日は明け方まで踊った後、「神送り」を行う。新盆を出した家の親戚縁者があげた切子灯籠を持ち、村の各地で踊り瑞光院まで移動し、そこで真言を唱え刀で灯籠を真二つにし、その瞬間空に向けて鉄砲(現在は花火)が撃たれる。その後灯籠を燃やすことにより精霊を送るという。また、日本三大盆踊りとして、徳島県の阿波踊り、岐阜県の郡上ぐじょう踊り、秋田県の西馬音内にしもない盆踊りが有名。なお、阿波踊りのように全国に広がりをみせ、各地で踊られているものもある。


【参考】松本伍一「盆踊り考—新野の盆踊り—」(藤井正雄他編『仏教行事歳時記八月万灯』第一法規出版、一九八九)、小寺融吉『郷土舞踊と盆踊』(桃蹊書房、一九四〇)、柳田国男「信州随筆」(『柳田国男全集』二四、筑摩書房、一九九〇)


【参照項目】➡盆行事


【執筆者:名和清隆】