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瓦経

提供: 新纂浄土宗大辞典

かわらきょう/瓦経

方形または方形状の粘土板にきりへらで経典を書写してかまで焼き上げたもの。釈尊入滅から五六億七千万年後の弥勒菩薩下生げしょうまで経典の保存を期して土中に埋められた。瓦経の利点は、紙に写経をした場合に比べ、腐食しにくい点にあり、願文にも「不朽」の文字が見られる。しかし他方、割れやすく、出土品に完全なものは少ない。瓦経は、一一世紀後半から一二世紀後半にかけての一世紀にかけて制作され、著名なものに寛政一一年(一七九九)播磨の常福寺(兵庫県姫路市香寺町)僧が発掘した、天養元年(一一四四)在銘「極楽寺瓦経」(常福寺瓦経)がある。発掘当初、五〇〇枚にのぼったといわれる瓦経の大半は失われたが、当時の姫路城主酒井忠道の作らせた拓本が現存し、全容を知ることができる。


【参考】石田茂作監修『新版仏教考古学講座』六「経典・経塚」(雄山閣、一九七七)、保坂三郎『経塚論考』(中央公論美術出版、一九七一)


【執筆者:東海林良昌】