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琉球神道記

提供: 新纂浄土宗大辞典

りゅうきゅうしんとうき/琉球神道記

五巻。良定袋中たいちゅう著。慶長一三年(一六〇八)成立。「神道記」と称するが、神道のみならず広く当時の琉球(沖縄)の仏教宗教状況について記したもの。当地に念仏を弘め、今日まで影響を残す袋中の主著である。前半・巻一から巻四では仏教世界観から説き起こし、天竺震旦・日本の歴史や仏教、また諸仏諸菩薩にまつわる説話をまとめている。琉球に触れるのは後半の巻五で、琉球の諸寺、その本地と垂迹、日本神話の神々を語り、また琉球独自の神話、神々を紹介する。ときに種々の儀礼や風俗、伝承にも筆が及び、貴重な資料となっている。袋中は慶長八年(一六〇三)五二歳で渡明を図るが琉球に漂着し、三年滞留する間に尚寧王しょうねいおう帰依を受け活躍、同一〇年本書の草稿を成して帰国した。同一三年、山城国山崎の大念寺にて改めて著したのが現存の袋中庵所蔵稿本(国重要文化財)である。滅後の慶安元年(一六四八)には刊本が出ており、馬幸明なる人物の依頼により執筆という、稿本にない記述がある。


【所収】琉球沖縄研究会編『琉球神道記 釈弁蓮社袋中集』(『大正大学綜合仏教研究所叢書』一一、大正大学綜合仏教研究所、二〇〇三)


【参考】横山重編『琉球神道記 弁蓮社袋中集』(大岡山書店、一九三六)、原田禹雄訳注『琉球神道記 附自筆稿本影印 袋中上人絵詞伝』(榕樹書林、二〇〇一)、筑土鈴寛「『琉球神道記』解題」(『筑土鈴寛著作集』三、せりか書房、一九七六)


【執筆者:阿川正貫】