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無絃

提供: 新纂浄土宗大辞典

むげん/無絃

—寛永一七年(一六四〇)七月六日。無弦ともいう。生蓮社往誉厭公。伊勢国山田(三重県伊勢市)の人。はじめ館林善導寺六世に、のち太田大光院四世に住した。幼い頃からよく観音菩薩を念じていたという。了聞のもとで出家した。学問にすぐれており、仏教ばかりでなく外典げてんにも通じ、また韻律詩文等にすぐれた。人相見から短命と告げられ、相模国江島えのしまに詣で、延齢の行を修し、夢の中で観音菩薩を念じると寿命が延びたことを告げられて、歓喜したという。また、かつて『大原談義纂述鈔』を選編したが、誤って聖聡の理解を批判した。その後両目を失明したが、聖聡懺悔したところそれが治ったという。また、『十八通枢要(鈔)』を述し、後進に用いられた。大光院において仏像を礼してそのまま寂した。著書に『大原談義纂述鈔』二巻、『教相枢要鈔』(『十八通枢要鈔』)二巻、『五教要義鈔』一巻がある。


【資料】『鎮流祖伝』七(浄全一七)、『総系譜』上(浄全一九)


【執筆者:原口弘之】