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毘陀論経

提供: 新纂浄土宗大辞典

びだろんぎょう/毘陀論経

観経』に見られる語。毘陀はバラモン教の根本聖典であるⓈvedaの音写と解され、諸現代語訳の訳註においてはウパニシャッド文献も含めた広義のヴェーダ聖典として解する場合もある。王舎城の悲劇において、阿闍世太子が母である王妃韋提希を反逆者として切り捨てようとした際、大臣の月光が「毘陀論経の説を聞くに、劫初より已来、諸もろの悪王あり。国位を貪ずるが故に、その父を殺害すること一万八千なり。いまだかつて、無道にして母を害することあることを聞かず」(聖典一・二八八/浄全一・三七~八)と阿闍世を諫めているが、具体的な経典は伝わらず、こうした内容がいかなるヴェーダ文献に説かれているかは詳らかではない。そうした観点から「バラモンたちの言い伝え」と現代語訳される場合もある。


【参考】中村元他訳註『浄土三部経』下(岩波書店、一九九一)、「研究成果報告 仏説観無量寿経」(『教化研究』二〇、浄土宗総合研究所、二〇〇九)


【執筆者:袖山榮輝】