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榧寺

提供: 新纂浄土宗大辞典

かやでら/榧寺

東京都台東区蔵前。東京教区№二七五。享禄から天正(一六世紀)の頃、念仏僧が隅田川の洲上に草庵を結び池中庵と名づけ、境内に榧の巨木があったことから榧寺と呼ばれていた。慶長四年(一五九九)源誉存応により浄土宗寺院として開山され、池中山盈満ようまん正覚寺と号したが、太平洋戦争後、通称であった榧寺を正式名とした。国学者・石川雅望の墓のほか、浮世絵の石川豊信、窪俊満、勝川春亭、義太夫初代竹本綾之助を始めとする歌舞伎役者や力士、近世洋画家の巨星安井曽太郎の墓などがある。幕末には彰義隊の別隊である龍虎隊の屯所になって落語「蔵前駕籠」の題材となり、ボストン美術館所蔵の葛飾北斎版画には「榧寺の高灯籠」が描かれている。


【参考】『江戸武蔵寺院由緒記』、『江戸府内寺社書上』、『紙本着色榧寺縁起絵巻』、『彰義隊』


【執筆者:日比野郁皓】