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捨身供養

提供: 新纂浄土宗大辞典

しゃしんくよう/捨身供養

仏道修行・報恩のために、身を仏に捧げたり、飢えた獣に与えたりして供養すること。『金光明最勝王経』中にある捨身品に説かれる内容が知られる。奈良・法隆寺所蔵の玉虫厨子に描かれている捨身飼虎図や施身聞偈図せしんもんげずが注目に値する。捨身飼虎図は、極度の空腹に耐えかねた母虎が、今にも自分の子供を食べようとしているのを菩薩が見て、自ら衣を脱ぎ、身を高所から投じて母虎に与える一連の様子が、同一画面上に表現する異時同図法で描かれる。施身聞偈図は雪山童子せっせんどうじ羅刹の口ずさむ偈文を聞き、自分の身を羅刹に施すことを約束して続きの偈文を教わり、岩に「生滅滅已寂滅為楽」を書き留めて、高所より身を投じる場面が同じ図法で描かれる。


【資料】『金光明最勝王経』(正蔵一六)


【執筆者:多川文彦】