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念仏十種心

提供: 新纂浄土宗大辞典

ねんぶつじっしゅしん/念仏十種心

『大宝積経』発勝志楽会に説かれる十種心の通称。ひとえに阿弥陀仏を念じて、極楽浄土往生する条件となる一〇種の心をいう。勝志楽会の異訳である『発覚浄心経』下には十種発心として説かれている。この一〇種の心とは①諸の衆生に大悲を起こして損害なき心②諸の衆生において大悲を起こして悩みなき心③仏の正法において身命を惜しまず守護をねがう心④一切法において勝忍を起こし執着なき心⑤利養を貪らず恭敬尊重して清浄なる心⑥さとりへの種子となる智を求めることを常に忘れない心⑦諸の衆生を尊重恭敬して下劣することなき心⑧世論にとらわれず、菩提を求める心を確立すること⑨諸の善根を植えて雑染なき清浄の心⑩諸の如来に対して諸相を離れて随念を起こす心、である。同経で弥勒はこれを発十種心とし、この心によるが故に阿弥陀仏極楽世界往生するとしている。迦才は『浄土論』において、『発覚浄心経』に説かれる十種発心を現在時の十念とし『観経』に説かれる臨終の十念とは異なるものとしている。


【執筆者:粂原恒久】