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弘明集

提供: 新纂浄土宗大辞典

ぐみょうしゅう/弘明集

一四巻。南朝梁の僧祐そうゆう(四四五—五一八)撰。僧祐は、彭城下邳ほうじょうかひ(江蘇省邳県)の人、俗姓は氏。序によれば「道は人を以てひろまり、教は文を以て明らかとなる」(正蔵五二・一上)という意から『弘明集』と命名された。仏教が中国に広まってから梁代にいたるまでの仏教擁護の文章を数多く収録する。中国的風俗習慣からの仏教非難に答えたもの、道教からの攻撃に反駁したもの、霊魂の滅不滅を論じたもの、沙門の王者に対する礼敬の問題、また儀規に関するもの、仏教の基本義を明らかにしたものなど、多彩な内容を含む。初期の仏教事情ならびに儒仏道三教交渉史を知るうえで貴重な書である。


【所収】正蔵五二、『四部叢刊』子部


【参考】牧田諦亮編『弘明集研究』上中下(京都大学人文科学研究所、一九七三~七五)、吉川忠夫訳『大乗仏典中国・日本篇第四巻 弘明集・広弘明集』(中央公論社、一九八八)


【執筆者:鵜飼光昌】