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尊厳死

提供: 新纂浄土宗大辞典

そんげんし/尊厳死

人間としての尊厳を保つために、延命治療を拒否したり中止したりする権利を尊重し、その行為によってもたらされる死。欧米では消極的安楽死と同義に理解されており、安楽死の範疇でとらえられている。米国では一九七五年のカレン・アン・クインラン事件において生命維持装置を外すことが裁判で認められた。また、七六年にはカリフォルニア州法で、前もってリビングウィル(尊厳死の宣言書)を作成して医師に提示することにより、生命維持装置を拒否して「自然死をのぞむ権利」を行使することが認められた。日本では産婦人科医の太田典礼が中心となって日本安楽死協会を設立し、リビングウィルや「死ぬ権利」の啓蒙を行ってきた。同会は八三年に日本尊厳死協会に名称変更を行い、尊厳死法の整備に向けて活動を行ってきたが、いまだ法制化は行われていない。一方、尊厳死を認めることは、役に立たない人間は生きている価値がないという、人の生存に格差を持ち込むことであるとして、尊厳死を警戒する立場の人もいる。


【参照項目】➡安楽死


【執筆者:今岡達雄】