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寺社縁起

提供: 新纂浄土宗大辞典

じしゃえんぎ/寺社縁起

寺院・神社の成立・沿革や、その本尊・祭神の由来、霊験譚などの記録の総称。寺社縁起は天平一八年(七四六)僧綱所そうごうしょの命により、翌年諸寺において創建の由来や所有の資材を記録し提出した「縁起並流記資材帳」(「古縁起」とも称される)が起源といわれ、『大安寺伽藍縁起並流記資材帳』には仏法伝来から創建に至る経緯と財産目録が記載されている。平安時代以降、縁起の内容は寺社の霊験利益譚が中心となり、『信貴山縁起絵巻』や『北野天神縁起絵巻』のように絵巻として制作される。寺社の唱導活動が展開すると、諏訪大社の甲賀三郎譚(「諏訪縁起」)に代表される、人間として苦悩を受け、後に神仏となって示現するという「物語縁起」が制作された(『神道集』所収)。室町期には「本地物」とよばれる御伽草子が庶民のあいだに広まり、江戸時代には多くの寺社で一枚刷りの「略縁起」が刷られた。


【参考】『寺社縁起』(『日本思想大系』二〇、岩波書店、一九七五)、桜井好朗『神々の変貌—社寺縁起の世界から—』(東京大学出版会、一九七六)、五来重『寺社縁起と伝承文化』(『五来重著作集』四、法蔵館、二〇〇八)


【参照項目】➡縁起


【執筆者:今堀太逸】