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宗義・行相

提供: 新纂浄土宗大辞典

しゅうぎ・ぎょうそう/宗義・行相

聖光授手印』に説かれる「浄土一宗の義」と「浄土一宗の行」のことで、それぞれ宗義・行相という。冒頭の序文に続いて「末代の念仏者、浄土一宗の義を知って、浄土一宗の行を修すべき、首尾次第の条条の行の事」(聖典五・二二四/浄全一〇・一下)とあるように、『授手印』はこの二つの主題によって記されており、その内容は、五種正行、正助二行、三心五念門四修三種行儀、の主題が取り上げられているが、これらのうち前半の五種正行、正助二行を宗義浄土一宗の義)、後半の三心五念門四修三種行儀行相浄土一宗の行)と呼び、それぞれ本願念仏の受けとめ方の問題と本願念仏の実践の問題とに分類されて解釈が行われてきた。この宗義・行相の呼称は聖聡の『五重拾遺抄』上に「浄土一宗の義を知って浄土一宗の行を修す等とは、この文の中に宗義あり、行相あり」(『伝灯輯要』一〇七)とあるのがはじめとされている。奥図には行相に位置する主題がそれぞれ「南無阿弥陀仏」の字と並べて記され、続けて「我が法然上人の言わく、善導の御釈を拝見するに、源空が目には、三心も五念も四修も皆ともに、南無阿弥陀仏と見ゆるなり」(聖典五・二四〇/浄全一〇・八下)とあることから、法然の教説を拠り所として提示されたものとされている。


【参考】聖典五解題、林田康順「選択本願念仏と結帰一行三昧」(北条賢三博士古稀記念論文集『インド学諸思想とその周延』山喜房仏書林、二〇〇四)


【参照項目】➡末代念仏授手印


【執筆者:郡嶋昭示】