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大蔵会

提供: 新纂浄土宗大辞典

だいぞうえ/大蔵会

「大蔵の翻訳・将来・攻究・彫造等に関し、功労ありし人々の遺徳を鑽仰しその精神の普及を図る」ことを目的に開催された行事の名称。現行大蔵会は、大正三年(一九一四)一一月三日東京上野美術学校(現・東京芸術大学)にて、第一回東京大蔵会が開催されたのに始まる。京都では翌四年一一月に「京都仏教宗学校連合会」(明治三九年〔一九〇六〕設立)主宰で「大典記念京都大蔵会」が大谷大学において開催され、以後各宗学校交替で担当し開催している。また、昭和八年(一九三三)には名古屋大蔵会、翌九年には三河大蔵会が開催された。各大蔵会の展観目録には、書名・所蔵者・識語等を掲載しており、書誌学上の基礎資料としても貴重である。東京大蔵会は戦後開催されなくなったが、京都大蔵会は、昭和四八年(一九七三)の『大蔵会新発足の趣意書』に示された「仏陀の教法の理解をはかり、文化財に対する啓蒙と保護の運動を進め、仏教精神の高揚に努める」ことを目的に現在も継続して開催されている。


【参考】「大蔵会の記」(『大崎学報』三七、一九一四)、「大蔵会記」(『大崎学報』四二、一九一五)、大蔵会編『大蔵会展観目録—自第一回至第五十回—』(文華堂書店、一九八一)、牧田諦亮「大蔵会の回顧と展望」(『佛教大学仏教学会紀要』四、一九九六)


【執筆者:米澤実江子】