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吾妻鏡

提供: 新纂浄土宗大辞典

あずまかがみ/吾妻鏡

五二巻。第四五巻を欠く。別名『東鑑』。源頼朝から第六代将軍宗尊親王、すなわち治承四年(一一八〇)から文永三年(一二六六)までの幕府の事跡を編年体で記録した歴史書。編纂は複数の幕府中枢の者と考えられ、鎌倉末期の成立とされる。幕府側からの視点であり、記事には注意を要する。しかし、同期の朝廷側にある公家の記録や日記と対比できるなど、鎌倉時代の基本的史料ともなる。項目によっては、頼朝側にあった九条兼実日記玉葉』や兼実の家司で後白河院皇女式子内親王に仕えた藤原定家の『明月記』など、複数の史料との検討ができる。また熊谷直実の死去、後白河院の念仏往生の記事をみるなど、浄土宗成立前後の社会的動静、浄土教関係の史料を提供する。


【所収】『新訂増補国史大系』(吉川弘文館)


【資料】『大日本史料』四—四・建久三年三月一三日の条、『大日本史料』四—一〇・承元二年九月一四日の条


【執筆者:魚尾孝久】