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南須釜の念仏踊り

提供: 新纂浄土宗大辞典

みなみすがまのねんぶつおどり/南須釜の念仏踊り

福島県石川郡玉川村須釜に伝わる念仏踊り。「玉川村念仏踊り」「花笠念仏踊り」ともいう。四月三日は南須釜の東福寺境内で、盆の八月一四日、一五日は東福寺の境内新盆の家々の庭先で踊る。起源は、江戸時代慶安年間(一六四八—一六五二)に仏の供養として一五、六歳以下の男女がその年新盆に当たる家を訪れ、踊りを仏前に供えたことに始まるとされる。その後、一時途絶えるが、明治一三年(一八八〇)生まれの大野ケサが少女時代に踊った記憶をもとに、昭和二七年(一九五二)から復興させた。内容は、十数人の少女が振袖(春)か浴衣(夏)を着て、たすき、脚絆、手差しを着け、花笠をかぶり、白扇または綾竹二本を持ち笛と鉦に合わせて新盆の家を一軒一軒回る。踊りには立ち踊りと綾取りの二種がある。現在、踊りは一〇曲保存され、南須釜念仏踊保存会によって踊りの指導や管理運営が行われている。同五〇年に県の重要無形文化財に指定された。


【参考】佛教大学民間念仏研究会編『民間念仏信仰の研究 資料編』(隆文館、一九六六)


【執筆者:齋藤知明】