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六成就

提供: 新纂浄土宗大辞典

ろくじょうじゅ/六成就

経典の始めの部分である序分に、①その経が阿難によって聞かれたこと②実際に仏が説かれたこと③説かれた時④説いた者⑤説かれた場所⑥その経の聴聞者、の六項が具備されていること。すべての経はこの六項を満たして初めて説かれるということから、これを六成就といい、六種成就、六事成就ともいう。『無量寿経』を例に挙げれば、①「我聞」(聞成就)②「如是」(信成就)③「一時」(時成就)④「仏」(主成就)⑤「住王舎城耆闍崛山ぎじゃくっせん中」(処成就)⑥「与大比丘衆」(衆成就)となる。『大智度論』二によれば、釈尊入滅の際、過去諸仏の説いた経がそうであり、未来諸仏の経がそうであるように、釈尊の説いた経も「如是我聞 一時仏在某方某国土某処樹林中」(正蔵二五・六六中)から始めよと阿難に示されたとあり、この故事に由来する。ただし、「如是我聞」以下の句が必ずしも六項に分けられるわけではなく、経典の注釈者によっては異なる見解も見られる。


【資料】『盂蘭盆経疏』、『伝通記』、『無量寿経鈔』


【執筆者:市川定敬】