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他力之七喩

提供: 新纂浄土宗大辞典

たりきのしちゆ/他力之七喩

阿弥陀仏本願力他力)が不可思議であることを示す七つの譬喩曇鸞略論安楽浄土義』が初出であり、道綽安楽集』上や源信往生要集』下にも引用される。①百人の農夫が百年をかけて積み上げた高さ千ひろの薪も、豆粒ほどの火種をつければ半日で燃え尽きてしまう。②足の不自由な人も船に乗れば帆に風を受け、一日で千里も進むことができる。③身分の低い貧しい人も一つの珍宝を入手して王に献上すれば、王からさまざまな褒美を与えられ、わずかな間に富と名声を得ることができる。④力の劣った人が驢馬ろばを打ち叩いても天空に昇ることはできないが、転輪聖王の行列に従えば大空を自在に飛び回ることができる。⑤幾重にも編まれた縄は千人の男性でも断ち切ることはできないが、幼い子でも刀をふるえば瞬時に両断することができる。⑥鴆鳥ちんちょうが水に入れば魚や貝は死に絶えるが、犀の角が泥に触れれば皆生き返る。⑦黄鵠おうこくが呼びかければ、墳墓の下で千年も眠っていた子安(仙人)も甦る、という七喩であり、これらはもと仏智が不可思議であることを譬えている。


【参照項目】➡他力之十喩


【執筆者:杉山裕俊】