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二種懺悔

提供: 新纂浄土宗大辞典

にしゅさんげ/二種懺悔

出家者が律蔵にしたがって行う制教せいきょう懺悔と、在家者と出家者が経論の二蔵にしたがって行う化教けきょう懺悔のこと。または、化教懺悔のうち、尊像を前に身・口・意三業をもって過去世からの罪業を懺悔する事懺じせんと、諸法の実相を念ずることにより、罪業をおこす妄念の根本を懺悔する理懺りせんのこと。事懺は愚鈍の者を対象としており、『仏名経』や『方等陀羅尼経』等にしたがって礼拝名号の誦持を行う懺悔である。これに対して、理懺は智利の者を対象としており、実相観や唯識観による懺悔である。善導往生礼讃』所説の要・略・広の三懺悔化教懺悔にあたる。永観往生講式』には「但し事理懺悔に堪えざる者は一心弥陀仏を念ずべし。一念の間にく八十億劫の生死の罪を滅す。いかいわんや念念をや。の故に常に弥陀を念ずる者は恒に懺悔を修するの人なり」(浄全一五・四六九上)とある。


【資料】道宣『四分律行事鈔』(正蔵四〇)、諦観『天台四教儀』(正蔵四六)、良忠『往生礼讃私記』(浄全四)


【参照項目】➡化教


【執筆者:吉水岳彦】