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二利真実

提供: 新纂浄土宗大辞典

にりしんじつ/二利真実

自らに至誠心具足する自利の真実と、人に教えて至誠心具足させる利他の真実の併称。善導至誠心を真実心と言い換えた、その真実の内容として説く(『観経疏散善義、聖典二・二八八/浄全二・五五下)。善導自利の真実をさらに以下の二つに分ける。①すべての菩薩のように、諸悪や穢国を制捨するときは真実心の中においてなす。②必ず真実心中に善を勤修し、また身口意の三業において真実心の中に、阿弥陀仏の依正を讃歎供養観察憶念するとともに、生死三界六道の自他の依正とその苦悪を厭い捨てる。良忠はこの文をさらに分類して「十重の厭欣」(『伝通記浄全二・三七六下)という。また善導利他の真実を説明しないが、良忠はその理由について「利他は必ず自利を教ゆる也。自利を釈するには利他あらわるが故に、別釈無き也」(『散善義略鈔』浄全二・五七八下)という。なお親鸞は、自利真実を自力真実、利他真実を他力真実と解釈する。


【参照項目】➡至誠心


【執筆者:齋藤蒙光】