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不浄説法

提供: 新纂浄土宗大辞典

ふじょうせっぽう/不浄説法

仏の正しい教えを理解できていないのに、自己の名声や利益を得ようとして、自分勝手な邪義・邪説を説くこと。『仏蔵経』や『優婆塞戒経』などで戒められている。『観経下品中生の説明に「かくのごとき愚人、僧祇物そうぎもつを偸み、現前僧物げんぜんそうもつを盗み、不浄説法して、慚愧あることなく、諸もろの悪業をもって、自ら荘厳す」(聖典一・三一一/浄全一・四九)とあるが、善導はその説明に「邪命説法」(『観経疏散善義、聖典二・三一七/浄全二・六八下)の語を用いる。これに対し良忠は「邪命説法とは、邪の因縁をもって不浄説法して利養活命す。故に不浄説法を名づけて邪命説法という」(『伝通記浄全二・三五一下)と会通えつうしている。また法然の言葉に「小智のものの道心なからんは、あるいは不浄説法、あるいは虚説人師にあり、決定地獄におつべし」(『東大寺十問答』聖典四・五三〇/昭法全六四五)とある。


【執筆者:齋藤蒙光】