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三災

提供: 新纂浄土宗大辞典

さんさい/三災

三種の災い。仏教世界観では、世界は成立期(成劫じょうこう)、存続期(住劫じゅうこう)、破壊期(壊劫えこう)、空漠期(空劫くうこう)を繰り返すとされる。存続期(住劫)には小の三災が、破壊期(壊劫)には大の三災が起こるという。小の三災とは、『俱舎論』一二によれば、存続期(住劫)では、人の寿命が八万歳から一〇歳の間の増減を二〇回繰り返す。一〇歳になったときに、交互に三種の災い、すなわち刀兵(刃物を持ち互いに殺し合う)、疾疫(疫病が流行する)、飢饉(雨が降らず飢饉となる)が起こるとされる。刀兵の期間は七日間、疾疫は七ヶ月七日間、飢饉は七年七ヶ月七日間続くとされる。大の三災とは同じく『俱舎論』一二によれば、壊劫において起こる火・水・風の三種の災いで、それらが器世間を破壊する。火災は初禅天までを焼き尽くし、水災は第二禅天までを水没させ、風災は第三禅天までを吹き飛ばし、火災が七度起こった後に水災が一度起こる。それを七回繰り返し、八回目に火災が七度起こった後は、風災が一度起こるという。『婆沙論』一三三によると、大の三災により器世間が破壊される時期には、壊劫の二十劫のうち、後半の十劫、最後の五劫、最後の一劫、以上の三説があるとする。


【資料】『長阿含経』二一、『大楼炭経』五、『阿毘達磨順正理論』三二


【参照項目】➡四劫


【執筆者:三宅徹誠】