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さんじもさ踊

提供: 新纂浄土宗大辞典

さんじもさおどり/さんじもさ踊

福島県白河市関辺郷渡の八幡神社に伝わる念仏踊り。「天道てんどう念仏」「白河さんじもさ踊り」「関辺のさんじもさ踊」ともいう。「さんじもさ」とは「山神様さんじんさま」というのをなまってよんだものとも伝えられている。「虫送り念仏」ともいわれ、天道=太陽を念じて農作を害するいなごなどの害虫を駆除し、五穀豊穣を祈願する神事として毎年奉納されている。昔は、「むけのついたち(旧六月一日)」の行事だったが、現在はその前後の休日に氏子の青年たちによって行われている。内容は、前日の宵祭りでは、青年が神社に籠りお棚を作って一晩中太鼓を打ち鳴らす。当日は、午後の神儀が終わった後に踊りが始まる。初めに「さんじもさ踊」が行われ、「祭○天」と書いた扇を持ってお棚を挟んで向かい合った鼓手の周りを「からくさぞめのこそでじゅばんで踊られよ、サンジモサー、シチャラコ、チャッチャ」という歌を歌いながら回る。次の「さんじもさ音頭」(「除蝗祭音頭」ともいう)では、扇を閉じて踊りながら中央に建ててあるやぐらを回る。古くは「なむあみだぶつ」とも称えたという。最後に棚を納める「おたな送り」を行い、役員の胴上げ、手打ちをし、直会なおらいにて締める。現在は白河天道念仏さんじもさ踊保存会によって管理されている。平成一〇年(一九九八)に国から「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に指定された。


【参考】佛教大学民間念仏研究会編『民間念仏信仰の研究』(隆文館、一九六六)


【執筆者:齋藤知明】