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えんま堂大念仏

提供: 新纂浄土宗大辞典

えんまどうだいねんぶつ/えんま堂大念仏

京都市上京区にある千本えんま堂で春に行われる大念仏狂言。千本えんま堂は、正式名称を引接寺いんじょうじといい、一一世紀初頭に定覚が開いたと伝えられる真言宗寺院。これはもともと大念仏という行事に端を発する。大念仏は、本来は僧侶が中心となって行われる仏教行事であったが、戦国時代から江戸時代頃にはそれが一般民衆によって行われるようになり、それにつれて狂言をともなうようになったものと考えられる。大念仏の創始については不明であるが、鎌倉時代に始まり室町時代初期にはすでに恒例化していたものと思われる。京都には三つの大念仏狂言が伝えられている。それは壬生みぶ念仏狂言・千本えんま堂大念仏狂言・嵯峨大念仏狂言である。いずれもかつての大念仏会にともなった乱行念仏が芸能化したもので、本来は仏教の教えに根ざした信仰行事であった。これら三つの大念仏狂言のうち閻魔堂狂言にのみセリフが伝えられており、それ以外はパントマイムである。


【参照項目】➡閻魔王


【執筆者:八木透】